クラシック
はじめてプロのピアノを聴いて驚いたのは、音ではなく表情の豊かさだった。 テンポが速く軽やかな曲調の場面では顔も自然とほころんでいて、遅めのテンポで重い雰囲気の場面では顔にしわが寄っていて、甘くささやくようなイメージの場面だと「全身が愛で満ち…
「正しい聴き方を考えるんじゃなくて、とにかくクラシックに触れてみろ」みたいな話を書いてはいるけれど、じっさいには適切な聴く姿勢=聴く型は存在する。岡田暁生さんも指摘しているように、クラシックにはクラシックの聴き方がある。 これは私が確信する…
むかし、クラシック音楽を教養だと感じていた。 正しい聴きかたがあると思っていた。正しい聴きかたを身につけてからでなくては、クラシックを聴く資格がない。ましてコンサートホールに行ってはいけない。クラシックへの入り口を開いていない門外漢が聴いて…
岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書、2009年) ぼくは、ツイッターで「芸術を語る視線を手に入れられる本」と評した。著者の実感とあわせて、思考の軌跡をたどれる本である。素晴らしい。 印象的なエピソードがある。 著者がドイツの友人宅を訪問したときの…
ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」 冬。 寒さが身体にしみて、心まで冷えていく。 その寒さは、逆説的に、心の底の暖かさに気づかせてくれる。 その暖かさは、人が与えてくれたものだ。 誰かが自分を愛してくれていたんじゃないか。誰かがいまも愛して…
京都は、今年初の真夏日だった。31.7℃。まだ5月ですよ…… 情報どおり、風が吹かない。乾燥しているのだけが唯一の救いだ(それも今後は蒸してくる。考えたくない)。 こんな暑い日に京響の定期演奏会が開かれた。 追い打ちをかけるように、1430開演である。太…
京都コンサートホールに行ってきた。 京都交響楽団のスプリング・コンサートを聴いた。 このコンサートは京響の各パートの紹介を兼ねており、同時に年度のはじまりにクラシックに親しんでもらうことを目的としている。そのため、親しみやすいプログラムとな…