白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

映画

『グッド・ウィル・ハンティング』

「彼女に電話したか」「いや」「なぜだ」「……彼女は、ほかの女とは違う。頭もいいし、退屈しない。でも次に会うと、頭がよくなくて退屈かもしれない。いまのままなら彼女は完璧だ」「きみも完璧な自分を崩したくないんだろ?」「……」「超すばらしいフィロソ…

映画『風立ちぬ』

宮崎駿さんの『風立ちぬ』に、ひとつだけ許せないシーンがあった。 結核の菜穂子さんの横で、二郎がタバコを吸うシーンである。 結核を患って大変な菜穂子さんと同じ部屋で、タバコを吸うとは何事か! と思った。ただでさえ肺が弱っているのに、追い打ちをか…

映画『ゴースト』

映画『ゴースト』 無言の時間に、ありったけの愛を詰めこんだ映画。 物語構成は単純である。 同棲しはじめたカップルのうち、彼氏が強盗に殺されてゴーストになる。一時的に逃げた強盗は彼女も殺そうとする。死んだ彼はなんとか彼女を救おうとするけれど、ゴ…

『アナ雪』の不幸な解釈と、ほんとうの「ありのまま」について

『アナと雪の女王』は、日本では主題歌が一人歩きしてしまい、内容が伝わっていない悲しい映画だ。 主題歌の「let it go」は、NHKでも取り上げられるほどの露出になった。どうも「ありのままの自分を肯定する動き」「自分の感情を解放する喜び」がウケている…

『フォレスト・ガンプ』

映画『フォレスト・ガンプ』 1950年代~1970年代、アメリカが大きく揺れ動いた時代を、ただまっすぐに駆け抜けた青年の映画。けっこう好き。 主人公のフォレスト・ガンプには、自閉傾向があった。言葉を文字通りにとらえて、ルールには愚直で、周囲の空気は…

2017年各部門ベスト3

今年読んだ物語とか。ベスト3と言いつつも、ひとつしかなかったりするのはご愛敬です。 全部門トップ おかざき真里『阿・吽』(小学館) 絵に吸い込まれて、呼吸がとまるという稀有な体験ができます。はーと息を吐ききったとき、口から出るのは「すんげぇ」…

映画『普通の人々』

ロバート・レッドフォード『普通の人々』(1980年) ひさしぶりに泣いた。大泣きだった。鼻がグシュグシュになった。『素晴らしき哉、人生』(1946年)以来の号泣かもしれない。 人間の心を浮かび上がらせていく丁寧な描写に驚く。すばらしい。 この映画を見…

映画『ラブ・アクチュアリー』

『ラブ・アクチュアリー』 ゼミの先生のおすすめで、1年半前に見た。そのときよりも、あきらかに登場人物の気もちが読めた。読めた結果、いろいろとクるものがあった。最後は感動した。よさみが深い。 あとヒュー・グラントさんはかっこよい。 アラン・リッ…

映画『魔女の宅急便』

『魔女の宅急便』 なかなか言及されないけれど、おすすめである。 人生がある。 【ストーリー】 親から受け継いだ「魔女の血」と「ほうき」をもって旅たちの儀式を迎えた少女が、新しい街で魔女の宅急便を始める。 しかしある日、血が機能しなくなって、ほう…

『ハリー・ポッターと死の秘宝』

ぼくは軽めのポッタリアンである。 本は10周以上しているし、映画も3回は通しで見ている。映画で省略された箇所も、頭のなかで映像化されているから、地上波放送ではしょられた箇所がわからない。 そのくらいのポッタリアンだ。ただ、何回読んでも、原作第7…

海がきこえる

『海がきこえる』 氷室冴子さんの原作小説を、ジブリが映画化した。はじめて観る。 【感想】 ジブリもこういうの撮るのか。ストーリー重視で、なんらかの目に見える困難が立ちふさがるものばかりだと思っていた。 『海がきこえる』はストーリー性を目指さず…

映画『素晴らしき哉、人生!』

フランク・キャプラ監督『素晴らしき哉、人生!』1946年。 いままでで、もっとも感動した作品である。 どうしようもなく、ラストで泣きつづけた。映画でこんなに泣いたのは、はじめてだった。 事実、アメリカ映画協会の感動した映画でトップに選ばれている。…

映画『秒速5センチメートル』

新海誠『秒速5センチメートル』2007年。 2017年3月17日深夜、テレ朝で新海誠監督『秒速5センチメートル』を放送していた。 高校時代に弟から薦められて以来、見る機会があると見てしまう。 欠点があった。かつての新海さんは、描きたい感情をそのまま描いて…

映画『ミッドナイト・イン・パリ』

『ミッドナイト・イン・パリ』 アカデミー賞脚本賞受賞。 わかりやすい流れ。いいアイデア、いいひねり方、いいオチのつけ方。 【あらすじ・流れ】 主人公のギルは、フランスに婚約者家族と旅行に来ていた。1920年代のフランスが最高だと思っていて、作家に…

映画『百円の恋』

『百円の恋』 日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。 前半はとにかくつらい。つらすぎて正直見ていられない。見ていられないと思った人は、1.5倍速でみることをお薦めする。ここを乗り越えれば、すごいものが見られる。 中盤からの疾走感はすごすぎる。 打ち込…

映画『(500)日のサマー』

『(500)日のサマー』 身の周りで謎の流行をみせた映画。 「なんで()がついてるのかな」と思いつつ、なかなか見る機会がなかった。「どうせ恋愛映画でしょ」と思って敬遠していた。 しかしそのわりには、「キュンキュンした!」系の感想は聞かなかった。…

映画『ララランド』

ララランド 現在公開中の映画である。先日のアカデミー賞で、今年度最多受賞作品。 それに恥じぬ作品だった。 ※上映中の作品は書かないようにしようと思ったのですが、自分のためのメモなので書いてしまいます。それに呼応して、あらすじは最後にもっていき…

映画『眼下の敵』

眼下の敵 戦争映画が好きだ。 極限状態での人間を見るのは、快感である。 初めて見る、眼下の敵を前にして、どうするのか。 【あらすじ・流れ】 第二次世界大戦時、アメリカ水上艦とドイツ潜水艦の戦い 水上艦の艦長は、元民間人である。自分の商用船がUボー…

映画『ユージュアル・サスペクツ』

ユージュアル・サスペクツ 1995年アカデミー賞脚本賞。 叙述ミステリーを、映像で描くとこうなるのか!と素直な驚き。すごい。 【あらすじ・流れ】 謎の黒幕であるカイザー・ロゼが、キートンを殺すシーンから始まる。船が炎上する。 それを影から見ていた生…

映画『レインマン』

レインマン 1989年脚本賞。 すばらしい脚本。ゾクゾクする。 【見どころ】 主人公の欠点は何か。欠点を生んだ原因は何か。欠点を補う装置は何か。どう行動が変わるのか。お手本のような作品。 【あらすじ・流れ】 他人は自分のために利用するものと思ってい…

映画『危険な関係』

『危険な関係』 1989年脚色賞受賞。 ドロッドロの主導権争い。 【あらすじ・流れ】 18世紀フランス社交界。 メルトイユ伯爵夫人とバルモン子爵が服を整える。戦闘服である。 ふたりは、処女のセシルとトゥールベル夫人を堕とすことに決める。実行役バルモン…

映画『草原の輝き』

『草原の輝き』 1961年脚本賞。 最高である。 【見どころ】 男と女を阻む真の敵対者はなにか。 【あらすじ・流れ】 滝をバックに、車のなかで男女が絡み合う構図でスタート。 しかし女性はキス以上に進展するのを拒む。男性はやりきれない想い。 女性が性交…

映画『アパートの鍵 貸します』

『アパートの鍵 貸します』 1961年のアカデミー賞で、脚本賞を取っている。これから脚本賞受賞作品を見ていくことに決めた。 こういう映画が見たかったんです。 【見どころ】 男性を主人公に進んでいくプロットと、女性を軸に進んでいく裏プロット。どこがど…

『裸足の季節』

『裸足の季節』 http://www.bitters.co.jp/hadashi/theater.html 『シン・ゴジラ』と『君の名は。』を見て、映画館で見るのと、家で借りて見るのではまったく違うなと実感した。 このふたつを機内で見た人は、損をしたといっていいだろう。最初だけは映画館…