読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。生態日記。

映画『ユージュアル・サスペクツ』

ユージュアル・サスペクツ

 

1995アカデミー賞脚本賞

 

叙述ミステリーを、映像で描くとこうなるのか!と素直な驚き。すごい。

 

【あらすじ・流れ】

謎の黒幕であるカイザー・ロゼが、キートンを殺すシーンから始まる。船が炎上する。

それを影から見ていた生還者キントの証言で回想がされる。

 

映像化される時間軸は

現在1:回想を述べるキントと警察官

現在2:病室にいるもうひとりの生還者

過去:キント、キートンを含む5人の容疑者の動き

 

きっかけは些細なできごと。キートン、キントを含む前科者5人が容疑者として逮捕される。

キートンの恋人兼弁護士の働きで、釈放される。しかし獄中で、ヤバい金儲けの仕事をする話し合いがされる。

 

金儲けで、頭脳的な中心になったのはキートンだった。ひとつの仕事のはずだったが、ずるずると続けることに。そのうちカイザー・ロゼの手下コバヤシが現れ、メンバー5人の恋人・家族を人質に仕事を依頼する。

 

カイザー・ロゼは決してしっぽをつかませない。人相も不明。警察にも社会にも強いパイプを持っているらしい。伝説の犯罪者である。逃げようとしたひとりは、あっさりと殺される。

 

頼まれた仕事は、敵対組織の麻薬密売の阻止だった。船で運ばれている麻薬を、船ごと焼き払え。

ひとり欠けた5人組は、なかにいたやつらを皆殺しにする最中に気づく。

 

「この船には、麻薬がない」

 

カイザー・ロゼの目的は、自分の人相を知っているやつを殺すことだったのだ。冒頭につながる。

 

こうした流れのところどころで、キントを尋問する警察官の描写がされる。キントは釈放が決まっていて、任意の供述である。これらの話を聞いた警察官は「キートンこそが、カイザー・ロゼだ」と判断する。「彼は本当に死んだのか」いや生きてるはずだ。

 

もうひとりの生き残りは船の爆発に巻き込まれ、やけどの重傷である。瀕死の証言から、警察はカイザーロゼの人相を割り出す。

 

キントは尋問が終えて、警察署を出る。

 

そこで警察官は、気づく。

コバヤシは、手にしているコップのメーカーである。話の要所に出てきた名前は、それぞれ壁に貼ってあるメモの名前である。キントは、やけに落ち着いていた。

 

人相書きが、FAXで警察署に送られてきた。キントの顔だった。

 

「俺を甘く見るなよ」。そういっていた警察官は、自分が甘く見られていたことに気づいた。

カイザー・ロゼは、街中に消えていった。

 

【感想】

叙述トリックである。サスペンス映画に分類されるのではなく、ミステリー映画に分類されるべき。

カイザー・ロゼという大黒幕は誰なのか。これがテーマとなる。

証言では、キートンがカイザー・ロゼであるかのような誘導がされる。映像はキートン視点で描かれる。警察官も、キートンが死んだように見せかけて罪を逃れた事実を挙げ、「今回も死んではいないのではないか」と推理する。キートンこそがカイザーなはずだ。

見事である。

物語の中盤にくると、カイザー・ロゼは誰なのか。何の目的があるのか、ということが映画で描かれることがわかる。

ミステリーのお約束として、いままでに出てきた人物以外は、カイザー・ロゼなわけがない。5人組のなかの人物がカイザーなのか。それならばキートンだ。

もしかして警察にもパイプがあるようだし、警察官ではないか。それならば取り調べをしているやつだ。

いやもしかしてコバヤシという人物ではないか。いやキートンの恋人も怪しい。

見る人の推理が拡散していくように仕組まれている。うまい。

 

拡散した推理が、ラストで一点に集約される。美しい。

カイザー・ロゼの正体を知ったら、もういちど映画を始めから見たくなる。なるほど、あれは伏線だったのかと。