白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。生態日記。

三島由紀夫『美徳のよろめき』

三島由紀夫美徳のよろめき』(新潮文庫、1960年)。

 

渡部昇一『「人間らしさ」の構造』で、「変に重くなくて軽い。筆のノリが違う」と絶賛されていた小説である。

とてもよかった。お薦めだ。

 

【あらすじ】

穢れをしらない淑女が、その純真さゆえに夫以外の男と関係をもってしまう。

はじめて味わう恋。全身を預けるような快感。淑女は、女となる。

しかし夢の日々は、男に他の女の影がまとわりつくことで終わりはじめる。相手以上に好きになっていたことを認識する。数度目の中絶とともに決心する。

「わかれましょう」。

自分で言っておきながら、忘れられずに手紙を書く。しかしそれを破き捨てる。

 

淑女は「穢れた」のか。こころを味わう物語。

 

【感想】

一見、純真な女性が穢れていくのか……と思う。

けれど穢れない。穢れとはこころの問題であり、彼女のこころは穢れない。読んでいて、どこまでも透き通っていて、とてもきれい。

純真なまま恋に堕ちていき、苦悩しながらも引き際を見極めて身を引く。

想いを打ち明けた手紙を破き捨てる。このラストは最高だった。

 

ぼくもよろめきたい。