映画『魔女の宅急便』
『魔女の宅急便』
なかなか言及されないけれど、おすすめである。
人生がある。
【ストーリー】
親から受け継いだ「魔女の血」と「ほうき」をもって旅たちの儀式を迎えた少女が、新しい街で魔女の宅急便を始める。
しかしある日、血が機能しなくなって、ほうきも折れ、宅急便ができなくなってしまう。自分の存在と生活への根本的な不安にさいなまれ、少女は絶望し元気を失う。
そんな少女は、森で出会ったお姉さんのもとで過ごすことで、自分という存在を受け入れてもらう経験をする。血がなくたって仕事がなくたって、私は私なんだ。それでいいんだ。こうして自己を受容した少女は、実はいろんな人に助けられていたことに気づく。
惹かれながらも反発していた男の子の危機にさいして、少女ははじめて「自分の意思で飛ぶ」という決意をする。少女は掃除用のモップで空を飛び、男の子を救った。
【感想】
完璧だと思う。
親から与えられて無意識に依存していたもの(あまり好きではない)が、ある日突然なくなって絶望する。必死にもがく。自分で自分を肯定できなくなった少女を受容してくれるのは、いままで会った人である。その人たちは、「親」を見ているのではなくて、「少女その人」を見ている。自分に軸を取り戻した少女は、その軸を意識的に使う決心をすることでひとり立ちする。
親からの自立という物語を、魔法少女の旅立ちを通して明瞭に描ききった。すばらしい作品である。
人生がある。
昔はこういう読みができなかったけれど、いまはできる。この作品の読みを通して、自分の成長を感じたりもする。