西UKO『となりのロボット』
西UKO『となりのロボット』(秋田書店、2014年)。
ひさしぶりに読んだ。連作短編のマンガで、全一巻。おすすめ。
【構成】
主人公は、人間の女の子と女子高生型ロボットのふたり。このふたりのあいだの恋愛を描いた物語である。
人間の女の子は、時間がたてば外見的に成長していく。いっぽうでロボットは外見的に変化しない。
女の子は子供のころからロボットのことがすきだった。ロボットも、「すき」だった。しかし人間のすきとロボットの「すき」は、どこか違う。その違いが、どうにもならないせつなさを感じさせる。女の子が成長するごとに、関係も変わっていく。
具体的に、ロボットのすきは、人間のすきとどう違うのか。読んでいくと、じつは同じようなものに感じられてくる。
ロボットも、ロボットなりに精一杯すきだったのだ。違いなんてあるのだろうか。
【感想】
「わたしは ロボットです。
今はだいたい 人と同じことができます」
各話冒頭は、ほとんどこのことばで始まる。このことばが、時がたっても同じなのである。物語に筋を通す効果をもち、かつ読者に「だいたい人と同じ」の意味について考えさせる。とてもよい設計になっている。
ロボットの外見は変わらないけれど、女の子の外見は変わる。小さいとき、中学生のとき、高校生のとき、大人のとき。それぞれの時期に、ロボットとはそれぞれの接しかたがある。この推移を軸に据えたのもよい。
人間のこころの変化だけでなく、ロボットの「こころ」も変化する。この「こころ」の描写が、SF的な論理性を歪めておらず、とてもリアリティがある。リアリティがあるからこそ、ふたりのこころが触れあったとき、読者はとても感動する。読んでいてぐっときた。
――チカちゃん 君は知らない
プラハがロボットなりに 君をどれほど愛しているか