白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。生態日記。冬眠するので春になったら起こして

ダンス姿勢保持と古武道

竹内友ボールルームへようこそ』(講談社)が私的ブームである。

他人に嫌われないよう目立たず生きてきた主人公が、「ダンスという場では自分を出してもいいんだ嫌われないんだ」と気づき(第4巻まで)、パートナーと正面からぶつかり合うなかで、自分なりの自己を主張できるようになっていく物語だと読んでいる(~第9巻)。いろいろなパートナーと組むことで、さまざまな側面が引き出され成長していく。競技ダンスについても知れておもしろい。アニメもやっているので、ぜひ見てほしい。1-4巻までの原作はとくにうまいと思う。サイトで第1話が読めるhttp://www.gmaga.co/comics/ballroom/

 

いろいろな楽しみかたができる。居合をやる身としては、身体操法に関して、ああそうだったのかと理解が深まる箇所が多い。

 

筋膜リリースだ。

いままでも肩甲骨の可動域を増やしたり股関節の可動域を増やしたりするために、ストレッチをしていた。しかし居合をするには、肩甲骨の可動域が十分ではなかった。そこでヨガを取り入れた。するとうまく肩甲骨が解放された感じがあった。

ボールルームへようこそ』を読んで、この作業は筋膜リリースと呼ぶと知った。この筋膜リリースは決定的に大事だ。たぶんダンスの姿勢を保つときにも、肩甲骨周りの筋膜がリリースされていないと、きれいな姿になっていないのだろう。

第1話に「立ち方ひとつで人の見る目は変わる」という大事なシーンがある。すこし意地悪な見方をすると、肩甲骨周りがリリースされていなければ胸は十分に張れないし肩の位置が体側面に十分移動しない。猫背癖のある多々良君が、そう簡単に十分な立ち方になれるわけはない。しかし、である。いままで猫背で下を見ていた彼が、しゃんと立って顔を上げて正面をみる。そのことに意味がある。ぼくらは応援しているのだ。

第9巻での多々良君は、全身の筋膜リリースを受ける。筋膜リリースされた身体を操縦するときに重要なのは何か。ぼくの経験でいうと、体幹への意識と個別の筋肉への意識になる。体内の癒着が解放された状態は、各部がバラバラになった状態と同じである。それを束ねるのは体幹部しかない。その体幹に支えられてはじめて、個別の筋肉を細かく制御できる。このときの多々良君は、体幹トレーニングを十分積んでいるから、このバラバラの感覚に慣れるだけで試合でもうまくいくのだろう。

「人間の構造を解剖学的に考えろ」。ダンスの姿勢制御では、ホールド(腕)のとき、わき腹の筋肉を使うことを知った。小さな肩の筋肉を使うのではなく、胸・側筋・背筋に負荷を分散させるのだ。そうすることで、長い間ホールドの姿勢を保てる。

 

いままで意識していなかっただけで、ぼくは居合でもだいたい同じ身体制御をしている。合気道の影響だろう。『ボールルームへようこそ』のおかげで、これまで無意識でやっていた作業を、明確に意識できるようになった。

だいたい同じ時期に入門した人に、身体の表面に力が入っている人がいる。そういうとき先輩から「力を抜いて。無駄な力が入っている」というアドバイスがされる。そうすると言われた側は、力の抜きかたがわからないし、そもそも力を抜いたら刀を保持できないじゃないかと内心不満に思ってしまう。

違うんだ。筋肉の使いかたが違うんだよ。

肩や腕で姿勢保持をするのではなく、体幹で姿勢保持をするんだ。と、こっそり後ろで理論解説をしている。