白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。妄想日記。妄想は妄想です。実在しません

将来の話

「俺はさ、○○をしたいんだよね」

 

学部生と話していて自然に将来の話になる。

大学には、さまざまな地域から学生が集まる。多くの人は4年ほどで就職する。京都には就職先が少ないから、学生の目線は地元か東京にいく。たった4年で、京都から離れていってしまう。

20年かそこらのぼくらにとって、4年は長い。けれど、就職した先30年を見すえると、短い。

すぐそこに500年前の建物があるからこそ、京都にいる4年間の短さがきわだつ。

たった4年で、出ていくのか。

 

 

――△会社に行きたい。

将来どうする? みたいな話になって、こういうふうに返されると嘘言ってるなぁと思う。

 

――で、ほんとうの君は何がしたいの

ふと口に出そうになる。しかし、つぐむ。△会社に行きたいってのは所属欲求の発露にすぎなくて、将来自分が何をしたいかについて、答えていない。むしろ、ぼくとあなたとでは、心を打ち明けるだけの信頼関係がないことを示している。ただたんに、相手が自身のことを知ろうとしていないだけかもしれないけど。

責める気にはなれない。ぼくも、答えたくないときには、会社とか業界を軸にして答える。逃げてるなぁと思いながら、相手に納得感を与えられるだけのストーリーを口にする。相手も、そのゲームに乗ってくれる。距離を認識することで、コミュニケーションを円滑にする。

そもそも、何かをしたいなんて、わからなくていい。高校に行って、受かったから大学に行って、それで受かったところに就職する。こういう意味での気楽さが、ぼくは好きだ。それで人生がうまくいくなら、問題ない。何をしたいなんて、自分をわかったつもりになることのほうが問題かもしれない。固執することによる弊害は否定できない。

 

 

そんなことを考えていると、彼は

「俺はさ、○○がしたいんだよね」

と言ってくる。自分のしたいことにまっすぐ向き合う。知り合って数ヵ月の、よく知らない院生相手に告白する。

素直さに嫉妬した。すごいなぁと思う。ぼくだったら、そんなに晴れやかに言うことできない。周りがどう思うか気にして、言葉にすることをためらう。恥ずかしさにひたってしまう。周りからすれば大したことじゃないのはわかっていても、自分を守ろうとしてしまう。

彼のしたいことの実現可能性は、はっきり言って薄い。問題点もいろいろある。

でも、そうやって、自分のしたいことを見つめて、どうやったらうまく将来と結びつけていけるのか。考えるプロセスが大事だ。ぼくだったら言うことができない大事なことを、ほとんど赤の他人に言う。すごい。

それに対して、何か否定的ことを言うのは裏切りに近い。的外れでもある。それこそ赤の他人の言葉だし、そもそも他人の言葉で左右されないだろう。やりたいことは、だれが何を言おうと、やりたいのだ。

肥大した自意識とコンプレックスのせいで、ぼくは何年消費したのだろうと思う。

「そうなんだ。いいね、やってみなよ」