白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

京都市は田舎

目の前にシカがいた。

鴨川である。

おお、こいつが噂のシカか、と思った。シカが出るとは聞いていたけれど、ほんとうにシカが出るとは信じられなかった。

もさもさと中州で草を食んでいる。身体は小さい。

かわいいなぁと思っていたら、ぼくの後ろを自転車が通った。シカはさっと顔を上げ、こっちを見たあとに走りだした。山に向かって、パシャパシャと水をまき散らしていった。

 

京都市では野生動物が出現する。

去年はイノシシがたくさん出て、人にぶつかったり、ガラスにぶつかったりした。運のないやつは、二条城のお堀に頭から突っ込んで溺死した。もっと運のないやつは、京都大学熊野寮に迷い込んで寮生に捕獲された。イノシシ鍋になったらしい。

二条城と言ったら、大通りに面した京都の観光名所である。京都にくる観光客は注意してほしい。目の前にイノシシが突っ込んでくるかもしれない。

……なんて楽しいのだろうか! 二条城に観光にきて、イノシシがお堀に突っ込む場面を目撃したら、ずっと語り草にできる。道の真ん中を筋肉の塊が猛然と走ってきて、柵を飛び越えてお堀に飛び込む。かっこいい。

イノシシが大量発生したのは、秋だった。冬眠のため栄養を蓄える必要があったのだろう。来年秋まで見られないのかな、と思っていた。会いたいな、と期待していた。

 

4月になってシカが出たというニュースがあった。

早朝にシカが出て、バイクの男性と衝突したらしい。男性は意識不明の重体。とても悲惨な事態だった。

街中のほうが日当たりがいいから、食事にきたとのこと。

京都市は田舎だった。

野生動物は川で眺めるくらいがちょうどいい。