松任谷由実「白い服、白い靴」
松任谷由実「白い服、白い靴」
http://j-lyric.net/artist/a000c13/l000e31.html
うぶな男子大学生がユーミンを紹介する。
その一場面。恋愛の教訓として「白い服、白い靴」を取り上げて説明を始めた。
マツコさんが遮って「ねぇ、なんで会わなかったんだと思う?」と訊いた。
そこからのやり取りである。
大学生「雨が降って白い服が汚れるから」
マツコ「それだけかなー?」
大学生「うーん」
マツコ「雨が降ってまで会いたい人ではなかった。そう思えるくらいの人だった」
※
このやりとり、いまならわかる。2年前なら大学生と同じ回答をしていた。
「雨が降って白い服が汚れるから」
雨だけが理由なら次の約束をします。会いたいんだから。
でも彼女はしてない。予定ができたとだけ伝えて電話を切った。
ふたりは、もう会わないんです。
※
彼女は、昔好きだった人に不意に声をかけられて、昔の甘酸っぱい想い出が一気によみがえってくる。あぁ、昔好きだったなぁ。社会人の顔になってる。すこしかっこいい。あの頃の話、楽しいなぁ。この声も好きだった。もう少し話したいな。でも、降りる駅はもうすくだ。
こんなふうに思って次の約束をするんです。想い出にひたってるから、いま大切な人の話をせずに。
浮かれきった気分のまま、きれいな服装を準備する。白い服と白い靴。汚れるから早々着られない。
そして当日、雨が降ってることに気づく。服が汚れちゃうな、と思った瞬間に、現実に帰ってくるんです。
いま私には大切な人がいる。昔の憧れだった人に浮かれてただけなんだ。ほんとうに愛しているのは、いまの人だ。
自分の気持ちに気づいて、「予定ができたの」と言って電話を切る。直接は言わないけれど、実質的にさよならと言っている。
たったこれだけで男にも伝わったと思います。無理に次の約束を強いません。そういう世界なんだよね、大人の恋愛って(たぶん)。