白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

舞妓さんのかわいらしさ

おしろいを塗って花柄の着物を着た舞妓さんが、数メートル先で三味線にあわせて踊っていた。背中から膝裏まで、だらりの帯が覆っている。カブトムシの甲羅に似ていた。着物の袖は、振り上げた手から下に大きく垂れている。裾が地面をこすっていた。

 

芸妓になるために修行しているのが舞妓さんである。10代後半が多く、親元を離れて住み込みで修行している。芸舞妓さんの踊りはほとんど花街でしか見られないけれど、みやこめっせの地下で無料の観覧会が開かれている。そこに行ってきた。

だらりの帯や派手な着物、花かんざしなど、身につけているものはかわいらしさを強調している、らしい。そう思えないこともない。装飾品はキラキラしてかわいい。

 

ただ、もっともかわいらしいのは、ゆびだった。

舞妓さんは手を使って、しなやかなだけど芯に力強さを感じさせる舞を踊る。手をさまざまに使うことで、いろいろな見立てを表現していた。ゆび先まで神経を届かせ、月見などの形を次々に組み合わせていく。よどみない動きに稽古の跡がうかがえる。手やゆびを袖から出したり隠したりしながら、月を仰いだり扇子を使ったりする。ひとつひとつの動作に意味があるから、自然と目が吸い寄せられていく。

そうして気づいた。手だけにはおしろいが塗られておらず、素肌が露出している。おしろいを塗らない理由はわからない。ともかく、顔や首元はおしろいが塗られて人間的ではないのに、手だけが人間性を残している。おしろい塗ったお人形ではなくて、生きている人間を感じられた。

ちいさな手、かわいらしいゆび。目が離せなくなった。着物やかんざし、帯ではなくて、ゆびこそが圧倒的にかわいらしいのである。

派手なかわいさに彩られて、自然なかわいらしさが際立つのだ。

 

みやこめっせの無料観覧会(2018年)

舞妓さん:5/20, 6/10, 7/15, 8/19, 9/9, 10/21, 11/18, 12/16

芸妓さん:5/27, 6/24, 7/22, 8/26, 9/23, 10/28, 11/25, 12/23

どれも14:00、14:30、15:00から15分程度です。舞を見られます。