白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

おかざき真里『&』

おかざき真里『&』(祥伝社2010年‐)

 

おかざき真里さんは、好きな女性漫画家のひとりだ。

昨年、あるひとのお薦めで『サプリ』を読んだ。それ以降、機会あるたびに買うようにしている。

 

こころを浮き彫りにするのが、とてもうまい作家さんである。

 

『&』を2巻まで買った。つるりとした凹凸のあるワイド版。懐かしい手触り。『サプリ』と同じだ。

やはり、こころの描写がすばらしい。

 

『サプリ』よりも、冒頭から引きこまれる物語だ。

なぜか。物語の推進力がはっきりしているからだ。

 

26歳処女が主人公。45歳のオジサンに恋をしてしまう。

それでいて主人公を好きな後輩男子と、ひとつ屋根の下にいる。

 

この構図だけで、どうなるのか先を読みたくなる。おかざきさんだから、読者のこころを締めつけてくることは確実である。

 

もうひとつ。それぞれのキャラクターの「闇」が、ずっしりと響いてくるから。

 

主人公はなぜ人に触れられるのが嫌いなのか。

45歳のオジサンは、なぜああも真に迫って脅すことができるのか。

後輩男子は、主人公と過去になにがあったのか(なぜ主人公は意識していないのか)。

 

過去が明かされていく描写に引き込まれる。

 

 

この2点は『サプリ』にはなかった。この要素を前面に押し出しながら、物語の推進力として使っているところに構成上の違いを感じる。

こころのひだを描いていく作風からすれば、かならずしも必要ではない。『サプリ』も楽しめた。

それでも、推進力があるほうが先を読みたくなるなぁと、いまは思う。10年後くらいになると、こういう設定は鼻につくのかもしれないけれど。