白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。生態日記。

映画『草原の輝き』

『草原の輝き』

1961年脚本賞

最高である。

【見どころ】

 男と女を阻む真の敵対者はなにか。

 

【あらすじ・流れ】

をバックに、車のなかで男女が絡み合う構図でスタート。

しかし女性はキス以上に進展するのを拒む。男性はやりきれない想い。

 

女性が性交を拒むのは、母親の価値観を内面化しているからである。「軽い女に見られるから、結婚まではダメ」。母親は、娘のためを思って言っているのではなく、自分の体面を保つために言っていた。

男性は、もちろんシたい。しかし彼女のためを思えばこそ、嫌がっているのに押しつけることはできない。「結婚したらデキる……」という希望は、父親の反対によってかなわない。この父親も自分の意見を押しつけるばかりであった。

 

このふたりのジレンマは、男性の姉によって強調される。姉は、親の意見をつっぱねて自由に生きている。端的にいって、ヤリマンである。男を家に連れ込んで、ふたりの目の前で性を連想させる行動をとる。

 

男性は父親と話し合う。「大学に行け。卒業したら結婚してもいい」と父親がいう。「どうせ先に進めないなら、いまは会わないほうがいい。会ったら気もちが抑えきれない」。男性は彼女を避けるようになる。どんどんフラストレーションがたまっていく。

女性も、会えないことにフラストレーション。

 

この状況に男性は耐えられなくなる。ふたたびにきたとき、隣にいた同級生を、滝のなかで犯す。性が爆発する。

 

女性は、狂ったように取り乱す。長かった髪を自分でバッサリ切る。しかし鏡には、彼氏の写真……。別の男の誘いでパーティに行くと、そこには彼氏がいる。

車のなかで「シて」というも、彼氏は固辞する。拒否されて取り乱した彼女は、別の男の車で、滝の前へ。ヤラレそうになるが、逃げだしての上流に飛び込む。

 

男性が固辞した理由は、彼女を思ってのことだった。髪も切っていて、自暴自棄な様子。「私を傷つけて」と言われているようなものだった。拒否された彼女を追って、滝に飛び込んで救い出す。

 

女性の精神状態は酷かった。療養のために、地方の病院に行った。

いっぽうで男性は、大学に進学する。心配で何も手につかない。やがて食堂の女と仲が良くなる。父親は恐慌の痛手を受けて自殺する。

 

女性が病院を出る。母親は娘を抑圧しようとするも、父親が娘に助け舟を出す。女性は、かつての恋人のもとへ。

しかし男性は結婚しており、子供もいた。精いっぱいの虚勢を張って、「わたしも来月結婚するの」

 

【感想】

美しい。そしてラストが切なすぎる。

三回出てくる滝のシーンが、重要な意味をもっている。

冒頭の滝では、親の意思or自分の意思の対立を意味する。ここで女性は、内面化した親の価値観を選んでいる。これが物語を生み出す。

第二の滝では、現状に耐えきれない男性が、衝動に突き動かされる。女よりも、男のほうが先に自立することを暗示する。これがなければ、女性は精神を病まない。

第三の滝では、女が自立できないことを示す。滝から飛び降りること(=自分の決定)を阻止される。

女は精神病院での療養に送られる。ここで飛び込めていれば、死なないにしろ、展開が大きく変わる。

 

青春ただなかをふたりとも抜け出すと、ラストの静かな感動が生まれる。

 

最高だった。