白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

カプセルホテル

長方形の通路は、真っ白な壁で覆われていた。湿度管理された空気が身体にまとわりつき、呼吸をするたびに乾いたゼリーを飲み込むようだった。空気清浄機の回る音がやまない。匂いのない無機質の空間だった。天井からは白い光が照らす。行きかう人たちは、黒…

祈るピアニスト

はじめてプロのピアノを聴いて驚いたのは、音ではなく表情の豊かさだった。 テンポが速く軽やかな曲調の場面では顔も自然とほころんでいて、遅めのテンポで重い雰囲気の場面では顔にしわが寄っていて、甘くささやくようなイメージの場面だと「全身が愛で満ち…

ケイスケ・ホンダーーコンテクストによるイメージ

NHK『プロフェッショナル』で、本田圭佑を扱っていた。 サッカー選手でありながら、よく話題になるのは彼の言動である。 言動からは、ぐんぐん前に進んでいくエネルギーを感じる。 まったく後ろを振り返らない。弱音はぜったいに吐かない。「そんなのオレに…

ネット時代の感情ーー官能描写の隆盛

村山由佳さんの『ダブル・ファンタジー』がドラマ化されることに気づいた。WOWOWで6月から放送が始まる。http://www.wowow.co.jp/dramaw/wf/。 村山由佳さんは去年いくつか読んだ。『遥かなる水の音』をお薦めされてから、ちょいちょいつまんだ。『天使の卵…

感情は客観的である

音楽体験には適切な感情の構えが重要であると言ったけれど、感情とは何か、という問題を考えたい。感情を説明しなければ、どう構えたらいいのかを説明しきれないからである。 以下の文章は、三木清『人生論ノート』から取ってきた。これをタネに、感情の全体…

適切な感情の構え

「正しい聴き方を考えるんじゃなくて、とにかくクラシックに触れてみろ」みたいな話を書いてはいるけれど、じっさいには適切な聴く姿勢=聴く型は存在する。岡田暁生さんも指摘しているように、クラシックにはクラシックの聴き方がある。 これは私が確信する…

裏の妄想

ツイッターの裏垢を閉鎖するので、好きな妄想を救済しておきます。 表垢でつぶやくには勇気がいるから、ブログならちょうどいい。 恋の夜長 気になる子からLINEがきて、「どういう意図でこの単語入れたんだろ」「もしかしてぼくのこと……ないな」「いやでもワ…

クラシックとの出会い

むかし、クラシック音楽を教養だと感じていた。 正しい聴きかたがあると思っていた。正しい聴きかたを身につけてからでなくては、クラシックを聴く資格がない。ましてコンサートホールに行ってはいけない。クラシックへの入り口を開いていない門外漢が聴いて…

京都三名水ーー染井の水

京都にきて初めにやったことは、おいしい水の確保だった。 飲用水がおいしいか否かはQOLに直接かかわる。水は大事だ。紅茶やお茶を淹れるにも、ご飯を炊くにも、味噌汁にも、水は欠かせない。シンプルな飲食物ほど、水道水とおいしい水の違いが如実に表れて…

舞妓さんのかわいらしさ

おしろいを塗って花柄の着物を着た舞妓さんが、数メートル先で三味線にあわせて踊っていた。背中から膝裏まで、だらりの帯が覆っている。カブトムシの甲羅に似ていた。着物の袖は、振り上げた手から下に大きく垂れている。裾が地面をこすっていた。 芸妓にな…

普段着の着物

祭りに行った。正面のステージでバンドが演奏する。色のきつい光線が舞って、音が鼓膜に響いてくる。 その喧騒の外側で、着物の女性が慣れた手つきでタバコを取りだした。火をつけて、うまそうにひと息吸って吐き出す。そうやって喧騒を眺めている。横顔が妙…