白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

2018-01-01から1年間の記事一覧

アレデ音楽シテイルツモリナンダカラネ

岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書、2009年) ぼくは、ツイッターで「芸術を語る視線を手に入れられる本」と評した。著者の実感とあわせて、思考の軌跡をたどれる本である。素晴らしい。 印象的なエピソードがある。 著者がドイツの友人宅を訪問したときの…

喫茶店

片方の男が深刻そうな顔で話しだす。 「好きな人がいないんだよね。いや付き合っている人がいないってわけじゃなくて、付き合っても、なんか『すき』という気もちになれないというか、こんなのが好きっていう感情なのかなと思ってしまう」 もう片方の男は、…

悲しいから泣きますか――謎のプリンス

塾講師をしていたころ 「悲しいのに泣けない人っているけど、感覚がわかんない。わたし卒業式とか号泣しちゃう」 と言っている人がいた。同じ教室に「悲しくても泣かない」という人もいれば、「そもそも泣かなくね。なんで泣いてんの。みっともない。」と言…

犬の話

この3月で、さくらが15才になった。 さくらは、ぼくが小学4年のとき家にやってきたメスの柴犬だ。やってきたときはまだ生後数ヵ月で、小学生の腕のなかにすっぽり収まるくらいの小ささだった。 一家全員で迎えにいった帰りみち、名前を付けることになった。…

日吉でやらない卒業式

今年の慶應は、卒業式を日吉でやらないらしい。あの体育館が改修工事中で使えないから、パシフィコ横浜を使うとのこと。 例年なら、卒業生は図書館前の諭吉像をバックに卒業写真をとる。卒業式終わって○○時に集合ね、みたいな約束をしておくのだ。 卒業式が…

ハチクロ名言集

すっごくすっごく唐突ですが、羽海野チカ『ハチミツとクローバー』の名言集載せます。ワードファイル漁ってたら、胸にジーンと来てしまった。 みんな読もうよ、キュンキュンしようよ。 キュンキュンというより、想いが相手に受け入れてもらえないどうにもな…

鴻上さんの大人

谷川俊太郎さんの大人の話を読んで、鴻上さんの「大人」の話を思いだした。おすすめです。 鴻上尚史『鴻上尚史のごあいさつ1981-2004』(角川書店、2004年) 高校時代の彼女は、何ものかにすがることを、はっきりと拒否しているように当時の僕には思えました…

居合とは何か――初心者の「初心者性」のありか

居合で重視されるのは、「そこに敵はいるか」「敵を斬れているか」「様式美を守れているか」の三つである。 1.そこに敵はいるか あたりまえだが、居合では敵を刀のとどく範囲にとらえる必要がある。そのために体さばきなどを用いて、対敵の位置関係・自分の…

谷川俊太郎『谷川俊太郎 質問箱』

谷川俊太郎『谷川俊太郎 質問箱』(ほぼ日刊イトイ新聞、2007年) 質問 どうして、にんげんは死ぬの? さえちゃんは、死ぬのはいやだよ。 (こやまさえ 六歳) (追伸:これは、娘が実際に母親である私に向かってした質問です。 目をうるませながらの質問で…

片足のないハト

片足のないハトがいた。 公園のハトたちは、クックと首を揺らしながら独特の歩きかたで地面に落ちたエサをさがす。エサを見つけたら、さっと地面をつついて食べる。そしてまた頭をあげてエサをさがす。 そうしたハトたちのなかに一羽だけ妙な動きをしている…