白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

2017-01-01から1年間の記事一覧

自己満足

目の前に車椅子に乗っている人がいる。付き添いの人はいない。 その人は坂道を前に、すこし停まっている。ぼくは、手伝わないほうがいいのか、手伝ったほうがいいのか。いつも迷う。 ひとりで車椅子を使う人は、基本的に介助がいらないからこそ、ひとりで生…

誤解していた感謝

ある選手がオリンピックの表彰台に登る。左胸についている日の丸ワッペンを握りしめながら、国家が流れるのを聞く。首から金メダルがぶら下がっている。手にもって上げたり下げたり、歯で噛んだりする。 授与式が終わると、定例のインタビューが始まる。 ――…

自分の頭で考える――京大の試験

自分の頭で考えるとは、自分勝手に考えることではない。ある視点から、あるツールに則って、考えることである。 京大での前期試験をだいたい終えた。 学部時代を過ごした慶應と、大きく異なる点があった。解答用紙の量である。京大の方が圧倒的に多い。慶應…

西UKO『となりのロボット』

西UKO『となりのロボット』(秋田書店、2014年)。 ひさしぶりに読んだ。連作短編のマンガで、全一巻。おすすめ。 【構成】 主人公は、人間の女の子と女子高生型ロボットのふたり。このふたりのあいだの恋愛を描いた物語である。 人間の女の子は、時間が…

仁和寺、ミニチュアお遍路。あと『蟲師』

仁和寺http://www.ninnaji.or.jp/index.htmlと御室八十八ヶ所 真言宗御室派の総本山である。友人がいうに「お遍路のミニチュア版があるよ」とのことだった。すぐ行くことに決めた。いろんな人が情報をくれる。ありがたい。 仁和寺 いま拝観できるのは、御殿…

三木清『人生論ノート』と井上雄彦『リアル』

おもしろい問いを投げかけられた。問うてくれた人に感謝したい。 「愛とは創造であり、創造とは対象に於て自己を見出すことである」(三木清『人生論ノート』)とは、どういうことか。 まず私がこの本を理解できていなかったことを告白しなければいけない。2…

無鄰菴

無鄰菴http://murin-an.jp/ 友人と行った。 京都市動物園から、琵琶湖疎水を挟んで反対側にある。近隣の別荘群のなかで、唯一公開しているらしい。京都市が管理しているので、75歳以上は無料だったり大学生は100円だったり茶室等が格安で借りられたりと充実…

映画『ラブ・アクチュアリー』

『ラブ・アクチュアリー』 ゼミの先生のおすすめで、1年半前に見た。そのときよりも、あきらかに登場人物の気もちが読めた。読めた結果、いろいろとクるものがあった。最後は感動した。よさみが深い。 あとヒュー・グラントさんはかっこよい。 アラン・リッ…

よい、わるい、わからない

ある作品に触れたとき、大きく分けて三種類の感想をもつ。 ひとつめは、よい。 その作品が一定水準に達しているなぁと感じたら、すなおによいと評価している。その作品のキモが、表現手段やストーリーにのってあらわされている作品はよいものだ。 よい、のな…

映画『魔女の宅急便』

『魔女の宅急便』 なかなか言及されないけれど、おすすめである。 人生がある。 【ストーリー】 親から受け継いだ「魔女の血」と「ほうき」をもって旅たちの儀式を迎えた少女が、新しい街で魔女の宅急便を始める。 しかしある日、血が機能しなくなって、ほう…

トンデモ本とぼくと。それから何か

あまり明かしたくないけれど、同じような経験をしたひとは結構いる気がするので、思いきって公開する。たいていのひとは、どこかの段階で気づいて方針転換しているはずだ。そう願いたい。人生の暗部である。 大学1年の前半、はじめて孫崎亨さんの本を読んで…

蚊と殺虫剤

ここ一週間、十分に寝られなかった。寝不足のせいで、木曜の京都めぐりはキャンセルしたし、金曜のコンサートもキャンセルした。自分の体調が優れないときに行っても、ちゃんと味わえない。 これらはぜんぶ、蚊のせいだ。 複数匹が部屋に入り込んでいたよう…

TED  Guy Winch “Why we all need to practice emotional first aid”

TEDというプレゼンテーションを知っているだろうか。 NHKが「スーパープレゼンテーション」と銘打って、英語(+日本語字幕)と日本語で放送している、アメリカのプレゼンテーション・ショーである(註:2018年に番組は終了した。本家は残っている)。 TEDの…

『四月は君の嘘』2

『君嘘』をおすすめしたのはいいけれど、ストーリー展開を記述しただけで(それも前半だけ)、「この物語で何が描かれているか」について触れていなかった。 11巻に直接的に言葉にされている。主人公はコンクールの決勝の舞台で、ショパン「バラード第一版」…

新川直司『四月は君の嘘』

とても好きな漫画がある。アニメにもなった。どちらもすばらしい。 新川直司『四月は君の嘘』(講談社、2011-2015年。全11巻完結済み)である。 繰り返し繰り返し、みんなにお薦めしているのだけれど、だれも読んだり見たりしてくれた形跡がない。何回でも言…

孤独について。『化物語』と『エヴァ』

孤独と愛についてある人と少し話した。そのなかで、明示的ではなかったけれど、重大な論点が隠されていたように思った。 瞬発力とコミュニケーション力が皆無なので、ぼくは話している最中に違和感に形を与えることができない。残った違和感は解消されずに、…

稲垣栄洋『弱者の戦略』

稲垣栄洋『弱者の戦略』(新潮選書、2014年)。 一時期、民間の就活をしていた時期があった。某出版社の説明会ESに「最近読んだおもしろい本を推薦してください」という問いがあった。フォルダを探していたら、出てきたので挙げておく。 体の大きなウシガ…

岩清水八幡宮

岩清水八幡宮 桜が咲いている時期に行った。 京都にきてからずっと雨が降っていて、たまの休みが運よく晴れた日だった。とりあえず鴨川を下ろう、と思って気持ちよく漕ぎ出したら興が乗ってそのまま1時間強。緩い向かい風のなかを、サイクリングの列の後ろに…

西本願寺 花灯明&夜間特別拝観

西本願寺。 いま、花灯明と特別拝観が催されている。新しい宗主に代わったことを、阿弥陀如来と親鸞に伝える伝灯奉伝法要の一環である。 今回は第十期の拝観期間。これが最後となる。31日まで。 先日行ってきた。すばらしかった。 結論からいえば、京都にい…

平野神社、北野天満宮天神市

秋にも咲く桜が植えてある。 平野神社。 北野天満宮のすぐそばにある。 境内には、桜の木がたくさん植えられている。桜の時期には、桜の花で埋め尽くされるのだろう。桜の花びらが形づくるアーチの真ん中を歩き抜ける。 想像するだけで美しい。 毎月25日には…

『ハリー・ポッターと死の秘宝』

ぼくは軽めのポッタリアンである。 本は10周以上しているし、映画も3回は通しで見ている。映画で省略された箇所も、頭のなかで映像化されているから、地上波放送ではしょられた箇所がわからない。 そのくらいのポッタリアンだ。ただ、何回読んでも、原作第7…

天授庵

スマホのデータをPCに移行したので、ぼちぼち京都観光をまとめていく。 天授庵。南禅寺のすぐ横にある。 拝観料は500円。山門に登って、ここの庭園を見ないのは損である。山門に登るよりも優先順位は高い。 ここは枯山水が有名だけれど(そうだ京都行こうの…

セネカ『人生の短さについて』

セネカ(中澤務訳)『人生の短さについて他2篇』(光文社古典新訳文庫、2017年)。 とりあえず表題作だけ読んだ。 多くの人の人生は、他人のために浪費されるのみである。そうした人生は他人を中心に回るから、多忙を極め、人生は短い。 いっぽうで自分の人…

曼殊院、修学院離宮

修学院離宮 http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/shugakuin.html 曼殊院http://www.manshuinmonzeki.jp/index.html 2017年5月18日に、この二つに行ってきた。ついでに御霊祭も見た。お祭りは関東と変わらないので割愛。古楽の笛の音が美しく響く。 (註:自…

なんの研究をしているんですか

誰かに会うたび、「大学院生です」と自己紹介する。 嘘ではない。大学院に籍を置いているのだから。 わかっている人たちは、続けてこう問う。「なんの研究をしているんですか」。ぼくは学部卒論の内容を答える。 嘘ではない。あの論文は、考察すべき点をいく…

京響「ブルックナー第5交響曲(原典版)」

京都は、今年初の真夏日だった。31.7℃。まだ5月ですよ…… 情報どおり、風が吹かない。乾燥しているのだけが唯一の救いだ(それも今後は蒸してくる。考えたくない)。 こんな暑い日に京響の定期演奏会が開かれた。 追い打ちをかけるように、1430開演である。太…

三島由紀夫『美徳のよろめき』

三島由紀夫『美徳のよろめき』(新潮文庫、1960年)。 渡部昇一『「人間らしさ」の構造』で、「変に重くなくて軽い。筆のノリが違う」と絶賛されていた小説である。 とてもよかった。お薦めだ。 【あらすじ】 穢れをしらない淑女が、その純真さゆえに夫以外…

三木清『人生論ノート』

三木清『人生論ノート』(新潮文庫、1954年)。 「成功と幸福とを、不成功と不幸とを同一視するようになって以来、人間は真の幸福が何であるかを理解し得なくなった。自分の不幸を不成功として考えている人間こそ、まことに憐れむべきである」(「成功につい…

渡部昇一『「人間らしさ」の構造』

www.youtube.com 渡部昇一『「人間らしさ」の構造』(講談社学術文庫、1977年)。 先日、渡部昇一さんの訃報に接した。 氏の本は『知的生活の方法』は読んだことがあるし、訳書だとフクヤマ『歴史の終わり』を読んだことがある。 それよりも蔵書の多さが有名…

河合栄二郎「学生に与う」

河合栄二郎「学生に与う」『河合栄二郎全集』第十四巻、(社会思想社、1967年)。 某大学院に通う友人のおすすめ本である。古き良き学生を地で行く彼は、人生に悩みながら、そのもがきをブログにしている。たまに読むのだけれど、とてもいい。自分と対面して…