竹内友『ボールルームへようこそ』(講談社)が私的ブームである。 他人に嫌われないよう目立たず生きてきた主人公が、「ダンスという場では自分を出してもいいんだ嫌われないんだ」と気づき(第4巻まで)、パートナーと正面からぶつかり合うなかで、自分な…
圓光寺 雨が降った。よい状態の苔を見られる。圓光寺に行ってきた。 圓光寺のある一乗寺は坂になっている。急なので、自転車で登るのは難しい。自転車を押しながら目的地まで。 圓光寺http://www.enkouji.jp/grounds.html 池泉式の庭園がある。建物に座って…
高石宏輔『声をかける』(晶文社、2017年)。 某氏がおすすめしていた。「ナンパは自傷。」との言葉にひかれて購入。 よかった。 【構成】 話すのが苦手、ノリに身を任せるのも苦手。はっきりいって、主人公は女性に声をかける人種ではない。しかし彼は、そ…
小学生のころ、大人になったらこうなりたいという理想像があった。 夢水清志郎だ。 はやみねかおる「名探偵夢水清志郎事件ノート」のシリーズに出てくる探偵だ。黒いスーツを年中着続けて、やせ形で身長は高い。針金細工みたいな。部屋にはうずたかく積まれ…
道尾秀介『光媒の花』(集英社、2012年)。 短編連作集。そうくるか! という驚きの連続で、心が揺さぶられる。緩急がしっかりしている印象。すごい。 友人が紹介していて、たまに読むサイトがある。「作家の読書道」だ。道尾さんは、「相手の頭の中に感情を…
外的に要求されることと、内的に要求されることが違うことがある。たとえば腕立て伏せをするときに、筋トレの知識がない状態で両手両足を地面につけて腕を曲げて伸ばすと、筋トレの意味で「腕立て伏せ」にはならない場合が多い。正しいフォームをまねしてい…
近所のお祭りに参加した。居合を教えてくれる人たちも参加していて、その手伝いもかねて。その土地で暮らすからには、外から眺めるんじゃなくて、かかわっていかないとわからないものがある。たった2年だけれど、そのなかではできるかぎり。 盆踊りがあった…
8月16日に五山送り火が催される。2017年の夜8時は晴れていて、風もあって涼しい。出町柳と鴨川デルタは人で埋め尽くされている。警察官が交通整理をして一部通行止めを行う。地元の人はよく見えるポイントを知っているので、人の少ない場所で静かに…
京都に大仏がある、という話を聞いて方広寺に行ってきた。 鴨川の東側、五条から七条の間に正面通という道がある。その由来は、大仏の正面にある通だから。ということで正面通を東に進むと、報国神社に行きつく。 おかしい。大仏がいないじゃないか、と思い…
さいきん読んだ本とか。 村山由佳『星々の舟』(文春文庫、2006年) 短編連作集。すんごい。 直線的な幸福ではなく、ねじれきったすえの、一抹の幸せを描く 「自分だけの足で独りで立つことができてこそ、人は本当の意味で他の誰かと関わることができる…
夏休みなので居合をしている。合気と居合とで足さばきに大きな違いがあるなぁと理解してきた。 富木流合気道の足さばきは、基本的に半身を作るためにある。前足を相手に正対させながら、後足を45度ほど開く。重心を体の真ん中にもってきて相手に正対するた…
目の前に車椅子に乗っている人がいる。付き添いの人はいない。 その人は坂道を前に、すこし停まっている。ぼくは、手伝わないほうがいいのか、手伝ったほうがいいのか。いつも迷う。 ひとりで車椅子を使う人は、基本的に介助がいらないからこそ、ひとりで生…
ある選手がオリンピックの表彰台に登る。左胸についている日の丸ワッペンを握りしめながら、国家が流れるのを聞く。首から金メダルがぶら下がっている。手にもって上げたり下げたり、歯で噛んだりする。 授与式が終わると、定例のインタビューが始まる。 ――…
自分の頭で考えるとは、自分勝手に考えることではない。ある視点から、あるツールに則って、考えることである。 京大での前期試験をだいたい終えた。 学部時代を過ごした慶應と、大きく異なる点があった。解答用紙の量である。京大の方が圧倒的に多い。慶應…
西UKO『となりのロボット』(秋田書店、2014年)。 ひさしぶりに読んだ。連作短編のマンガで、全一巻。おすすめ。 【構成】 主人公は、人間の女の子と女子高生型ロボットのふたり。このふたりのあいだの恋愛を描いた物語である。 人間の女の子は、時間が…
仁和寺http://www.ninnaji.or.jp/index.htmlと御室八十八ヶ所 真言宗御室派の総本山である。友人がいうに「お遍路のミニチュア版があるよ」とのことだった。すぐ行くことに決めた。いろんな人が情報をくれる。ありがたい。 仁和寺 いま拝観できるのは、御殿…
おもしろい問いを投げかけられた。問うてくれた人に感謝したい。 「愛とは創造であり、創造とは対象に於て自己を見出すことである」(三木清『人生論ノート』)とは、どういうことか。 まず私がこの本を理解できていなかったことを告白しなければいけない。2…
無鄰菴http://murin-an.jp/ 友人と行った。 京都市動物園から、琵琶湖疎水を挟んで反対側にある。近隣の別荘群のなかで、唯一公開しているらしい。京都市が管理しているので、75歳以上は無料だったり大学生は100円だったり茶室等が格安で借りられたりと充実…
『ラブ・アクチュアリー』 ゼミの先生のおすすめで、1年半前に見た。そのときよりも、あきらかに登場人物の気もちが読めた。読めた結果、いろいろとクるものがあった。最後は感動した。よさみが深い。 あとヒュー・グラントさんはかっこよい。 アラン・リッ…
ある作品に触れたとき、大きく分けて三種類の感想をもつ。 ひとつめは、よい。 その作品が一定水準に達しているなぁと感じたら、すなおによいと評価している。その作品のキモが、表現手段やストーリーにのってあらわされている作品はよいものだ。 よい、のな…
『魔女の宅急便』 なかなか言及されないけれど、おすすめである。 人生がある。 【ストーリー】 親から受け継いだ「魔女の血」と「ほうき」をもって旅たちの儀式を迎えた少女が、新しい街で魔女の宅急便を始める。 しかしある日、血が機能しなくなって、ほう…
あまり明かしたくないけれど、同じような経験をしたひとは結構いる気がするので、思いきって公開する。たいていのひとは、どこかの段階で気づいて方針転換しているはずだ。そう願いたい。人生の暗部である。 大学1年の前半、はじめて孫崎亨さんの本を読んで…
ここ一週間、十分に寝られなかった。寝不足のせいで、木曜の京都めぐりはキャンセルしたし、金曜のコンサートもキャンセルした。自分の体調が優れないときに行っても、ちゃんと味わえない。 これらはぜんぶ、蚊のせいだ。 複数匹が部屋に入り込んでいたよう…
TEDというプレゼンテーションを知っているだろうか。 NHKが「スーパープレゼンテーション」と銘打って、英語(+日本語字幕)と日本語で放送している、アメリカのプレゼンテーション・ショーである(註:2018年に番組は終了した。本家は残っている)。 TEDの…
『君嘘』をおすすめしたのはいいけれど、ストーリー展開を記述しただけで(それも前半だけ)、「この物語で何が描かれているか」について触れていなかった。 11巻に直接的に言葉にされている。主人公はコンクールの決勝の舞台で、ショパン「バラード第一版」…
とても好きな漫画がある。アニメにもなった。どちらもすばらしい。 新川直司『四月は君の嘘』(講談社、2011-2015年。全11巻完結済み)である。 繰り返し繰り返し、みんなにお薦めしているのだけれど、だれも読んだり見たりしてくれた形跡がない。何回でも言…
孤独と愛についてある人と少し話した。そのなかで、明示的ではなかったけれど、重大な論点が隠されていたように思った。 瞬発力とコミュニケーション力が皆無なので、ぼくは話している最中に違和感に形を与えることができない。残った違和感は解消されずに、…
稲垣栄洋『弱者の戦略』(新潮選書、2014年)。 一時期、民間の就活をしていた時期があった。某出版社の説明会ESに「最近読んだおもしろい本を推薦してください」という問いがあった。フォルダを探していたら、出てきたので挙げておく。 体の大きなウシガ…
岩清水八幡宮 桜が咲いている時期に行った。 京都にきてからずっと雨が降っていて、たまの休みが運よく晴れた日だった。とりあえず鴨川を下ろう、と思って気持ちよく漕ぎ出したら興が乗ってそのまま1時間強。緩い向かい風のなかを、サイクリングの列の後ろに…
西本願寺。 いま、花灯明と特別拝観が催されている。新しい宗主に代わったことを、阿弥陀如来と親鸞に伝える伝灯奉伝法要の一環である。 今回は第十期の拝観期間。これが最後となる。31日まで。 先日行ってきた。すばらしかった。 結論からいえば、京都にい…