2017年各部門ベスト3
今年読んだ物語とか。ベスト3と言いつつも、ひとつしかなかったりするのはご愛敬です。
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絵に吸い込まれて、呼吸がとまるという稀有な体験ができます。はーと息を吐ききったとき、口から出るのは「すんげぇ」のひと言です。
ゾクッとします。ビリビリきます。グワーってなります。
漫画
ダンスをしたくなります。姿勢が良くなります。前に進むエネルギーで満たされます。原作第10巻はまだ出ていないので、アニメで補完しましょう。
表面的な面白さだけではなくて、ダンスのペアを通して人間関係を描ききったところに凄みがある。「ぼくを見ろ! 見ろ!」。ダンスのペアを通して魂が救われ、魂を投射できるようになる。
こういうのが好きなんだよな。
圧倒的なエロさ。まずはエロさにひたってください。こういう大恋愛をしてみたかった……
初恋をして、人間に初めてぶつかるんですよね。せつないですよね。ええ。これが、(いろんな意味で)生きるということです。ズブズブの泥沼なんです。
矢飼さんのカッコよさ。
エッセー
鴻上尚史『鴻上尚史のごあいさつ1981-2004』(角川書店、2004年)
かなり読みやすい。人間に対する目線を手に入れられる。誰にでもおすすめできる。
某氏「恋って陳腐じゃね?」
ぼく「いや、このエッセー読んでから言ってよ。人間関係の根本だよ」
思索の跡をたどりたいとき、これの意味はどういうことなんだろうとじっくり考えるのもいいですね。レトリックもクセになる。
孤独と愛です。ぼくの思考の核を作った……と思いながらも、違う気がしてきた。
孤独を見つめるのが怖かったけど、孤独を見つめていくと、自分の心の豊かさに気づいて、孤独ってやはり無価値な概念だと気づいた。怖くないんだ、普通の人間なんだ。自分を知るという意味で、たぶん、いま読む価値があった。
長編
このふたつは別格だった。練られた構成、手のひらでやさしく救いだすような心理描写。心を味わえる。
でも、いろいろ読むうちに、ぼくが読みたいものはないのかもしれないと思ってきた。
短編
道尾秀介『鬼の跫音』(角川文庫、2011年)
これを読んだら、ほかの短編がかすんでしまった。
ぐいっと引きこむ冒頭部分、感情が二転三転するように練られたプロット、最後に明かされる真実、感情がぶつかってくる感覚、じわりと広がる余韻。
短編って、こんなに長かったっけ?
映画
『アパートの鍵 貸します』
恋愛系で、なんかもういろいろ完璧。オマージュされる作品なので、いろんな映画を思いだすはず。片想いをしているひと、必見です。片想いをしているひとに、恋人や好きな人がいるひと、いますぐに見ましょう。たまにはこういうのもね。
某氏「こじらせてるなぁ」。いいんです。キュンは必須栄養素なんです。
『普通の人々』
なんでうまくいかないのかな、と思ってしまうときに。周りはみんなうまくいっているように見えるときに。
いろんな人間がいて、それぞれに事情を抱えていて、みんな人生に対しては不器用なんです。いいんです、うまくいかなくったって。うまくいっていないという事実を知っているだけで、すばらしいのです。ひと休みして、ゆっくり歩きだせばいいんだ。
『素晴らしき哉、人生!』1946年
自分なんか生きていても意味ないんじゃないかと思ったときに。失敗だらけで、みんなから嫌われてるんだろうな、顔あわせたくないなと思ったときに。端的にいえば、自尊感情が傷ついたときに。
あなたは生きているだけで、周りを救っているんですよ。
この記事を読んでくれているだけで、ぼくは救われています。