白くま生態観察記

上洛した白いくまもん。観察日記。勝手にコルクラボ

LGBTが気持ち悪い人の本音 「ポリコレ棒で葬られるの怖い」news

LGBTが気持ち悪い人の本音 「ポリコレ棒で葬られるの怖い」 - withnews(ウィズニュース) withnewsはしっかりした記事を出していて、結構好きな媒体である。 かしこまった場では話せないけれど、人間ってこういうの読みたいよね、みたいな記事を的確に出し…

アレデ音楽シテイルツモリナンダカラネ

岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書、2009年) ぼくは、ツイッターで「芸術を語る視線を手に入れられる本」と評した。著者の実感とあわせて、思考の軌跡をたどれる本である。素晴らしい。 印象的なエピソードがある。 著者がドイツの友人宅を訪問したときの…

喫茶店

片方の男が深刻そうな顔で話しだす。 「好きな人がいないんだよね。いや付き合っている人がいないってわけじゃなくて、付き合っても、なんか『すき』という気もちになれないというか、こんなのが好きっていう感情なのかなと思ってしまう」 もう片方の男は、…

悲しいから泣きますか――謎のプリンス

塾講師をしていたころ 「悲しいのに泣けない人っているけど、感覚がわかんない。わたし卒業式とか号泣しちゃう」 と言っている人がいた。同じ教室に「悲しくても泣かない」という人もいれば、「そもそも泣かなくね。なんで泣いてんの。みっともない。」と言…

犬の話

この3月で、さくらが15才になった。 さくらは、ぼくが小学4年のとき家にやってきたメスの柴犬だ。やってきたときはまだ生後数ヵ月で、小学生の腕のなかにすっぽり収まるくらいの小ささだった。 一家全員で迎えにいった帰りみち、名前を付けることになった。…

日吉でやらない卒業式

今年の慶應は、卒業式を日吉でやらないらしい。あの体育館が改修工事中で使えないから、パシフィコ横浜を使うとのこと。 例年なら、卒業生は図書館前の諭吉像をバックに卒業写真をとる。卒業式終わって○○時に集合ね、みたいな約束をしておくのだ。 卒業式が…

ハチクロ名言集

すっごくすっごく唐突ですが、羽海野チカ『ハチミツとクローバー』の名言集載せます。ワードファイル漁ってたら、胸にジーンと来てしまった。 みんな読もうよ、キュンキュンしようよ。 キュンキュンというより、想いが相手に受け入れてもらえないどうにもな…

鴻上さんの大人

谷川俊太郎さんの大人の話を読んで、鴻上さんの「大人」の話を思いだした。おすすめです。 鴻上尚史『鴻上尚史のごあいさつ1981-2004』(角川書店、2004年) 高校時代の彼女は、何ものかにすがることを、はっきりと拒否しているように当時の僕には思えました…

居合とは何か――初心者の「初心者性」のありか

居合で重視されるのは、「そこに敵はいるか」「敵を斬れているか」「様式美を守れているか」の三つである。 1.そこに敵はいるか あたりまえだが、居合では敵を刀のとどく範囲にとらえる必要がある。そのために体さばきなどを用いて、対敵の位置関係・自分の…

谷川俊太郎『谷川俊太郎 質問箱』

谷川俊太郎『谷川俊太郎 質問箱』(ほぼ日刊イトイ新聞、2007年) 質問 どうして、にんげんは死ぬの? さえちゃんは、死ぬのはいやだよ。 (こやまさえ 六歳) (追伸:これは、娘が実際に母親である私に向かってした質問です。 目をうるませながらの質問で…

片足のないハト

片足のないハトがいた。 公園のハトたちは、クックと首を揺らしながら独特の歩きかたで地面に落ちたエサをさがす。エサを見つけたら、さっと地面をつついて食べる。そしてまた頭をあげてエサをさがす。 そうしたハトたちのなかに一羽だけ妙な動きをしている…

三田誠広『いちご同盟』

三田誠広『いちご同盟』(集英社文庫、1991年) 『君嘘』は、『いちご同盟』へのオマージュだった。 高校生のとき、20歳には死んでそうだなと思った。 大学に入って、30歳くらいで死ぬなと思った。 体調を崩した時期には、残りの人生は消化試合だなと思った…

漢詩と『君嘘』

漢詩を語ることで、『君嘘』に迫る。 李白の「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」。漢文の教科書で読んだ。 七言絶句である。縦書きのものを、横書きにした。 故人西辞黄鶴楼 煙花三月下揚州 孤帆遠影碧空尽 惟見長江天際流 高校生のとき、この詩を読んで…

『ロンドン・デイズ』ふたたび

鴻上さんの『ロンドン・デイズ』は、演出家のロンドン留学をつづった日記である。 イギリスの演劇学校の授業風景がわかっておもしろい。また鴻上さんの目を通すと、世界はこんなふうに見えるのかと感心する。 演技練習の授業。 新しい女の先生が自分のことを…

名前

学部の国際法は、1,2限の連続講義だった。内容はもう覚えていない。 けれど、忘れられない話がある。 講義は女性が担当していた。何かを説明している最中、突然、マイクで問いかけてきた。 「みなさんは、好きだった子の名前を、自分の名前と組み合わせて悶…

希望とは、絶望を分かちあうこと

「きみのいう、愛っていうのは、具体的にはどういうこと? 何か一方的な救いのように感じるのだけど。そう思う原因は?」 こう問われたら、ぼくは、即座に答えられる。 「愛っていうのは、『ひとりじゃないんだよ』と実感させてあげること。相手に、自分自身…

蛙化現象

蛙化現象、という話がある。 「好きな人ができても、その人から好意を向けられると、気持ち悪く感じてしまう」現象をさす。 たぶん、このブログが一番いい。実際の声を拾いながら、理論とも結びつけている。読んで衝撃を受けた。 『好きな人から好意を向けら…

亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」 冬。 寒さが身体にしみて、心まで冷えていく。 その寒さは、逆説的に、心の底の暖かさに気づかせてくれる。 その暖かさは、人が与えてくれたものだ。 誰かが自分を愛してくれていたんじゃないか。誰かがいまも愛して…

齊藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』

齊藤亜矢『ヒトはなぜ絵を描くのか』(岩波書店、2014年) 岩波書店『図書』2017年12月号で、齊藤さんの文章を読んだ。 「サルを追いかけていたら、崖から落ちて背骨を骨折した。サルを追いかけて? と笑われることも多いが、まったく笑いごとではなかった」…

心とまじない

ハリーポッター・シリーズで、大きな謎があった。 なぜ「エクスペリアームス(武装解除)」の呪文は、さまざまな効果をもつのか。 あるときは相手の杖だけを吹き飛ばしたり、あるときは相手の杖を術者のほうに飛んでこさせたり、またあるときは相手ごと吹き…

2017年各部門ベスト3

今年読んだ物語とか。ベスト3と言いつつも、ひとつしかなかったりするのはご愛敬です。 全部門トップ おかざき真里『阿・吽』(小学館) 絵に吸い込まれて、呼吸がとまるという稀有な体験ができます。はーと息を吐ききったとき、口から出るのは「すんげぇ」…

孤独と愛――再考①

鴻上尚史『恋愛王』のなかに、アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』について触れたエッセーがある。その内容に触れながら、彼は言う。 彼女の夫は、おそらく彼女を愛しているのです。が、同時に、彼女の精神のある部分に対して、激しく憎んでいるのです。…

体温

実家に犬がいる。 来年春で15歳の、豆しばおばあちゃんだ。おばあちゃんだけれど、散歩のときには飛んだり跳ねたり走ったりする。 ちっこくて、ふわふわで、ちょっとごわごわしてて、ほんのりと動物臭い。 そして、とてもあたたかい。 ぎゅっと抱きしめたら…

野望を話せ

忘年会に出た。 先生と一緒に院棟で飲む。 知らない人も、知っている人もいる。 「野望を話せ」と言われ、自己紹介が始まった。 ぼくは、前の人にならって志望先を述べた。 二重のウソである。 その志望先に行く気はない。 たとえ志望先に行く気があっても、…

深町秋生『果てしなき渇き』

深町秋生『果てしなき渇き』(宝島社、2005年) おすすめされた。 読みながら、こういう本をおすすめするひとは、どういう人間なのかを考えていた。 暴力につぐ暴力が延々とつづられる。具体的で肉感のある描写だから、読者は暴力をする側になったり、される…

アニメ『ボールルームへようこそ』

『ボールルームへようこそ』23話 アニメ版が原作を超えて、ついにちーちゃんと多々良くんペアの結末を描いた。 多々良くんは臆病で、自尊感情のないタイプだった。だから、相手の女性にあわせてリード(ダンスにおける男性の役割。女性を導くこと)をしてい…

雑想――エッセーを読みながら自分を読む

「大切な情報をたくさん得ているかわりに、どうでもいい情報の洪水が、私の脳にはがんがん入ってきているのだ。 それを偶然にも一時的に中断してみたら、頭の中がすっきりした。どうでもいい情報はやっぱり害なのだ、とあらためて思った瞬間だった。どうでも…

見る

人は見たいものしか見ない。目の前にあっても、ちゃんと見ることができない。 と、よく言われる。正しい。 しかし、ぼくはこうも思う。 目の前のものをそのまま見るには、どうしたらいいのか。 見ることができないのだから仕方ないと諦めるのではなく、でき…

挫折

毎週、NHK『ドキュメント72時間』を見ている。 どうしても頭から離れない女性がいる。 禅寺体験の回。参加していた女子大生だ。 警察官になることが彼女の夢だった。そのために大学に行って、自動車免許もとって、たぶん身体も鍛えていた。 しかし、車を運転…

高橋留美子『めぞん一刻』

高橋留美子『めぞん一刻』文庫版、全10巻(小学館) 愛するひとを突然失った人間は、ふたたび誰かを愛せるようになるのか。 結婚した直後に、結婚相手をなくしたらどういう状態になるか。直後の反応ではなくて、心の底に刻みつけられる刻印を想像したい。 『…